転職活動を進めていると、「この求人は採用代行が対応しています」「人材紹介会社を通じてご応募ください」といった表記を目にすることがあります。しかし、採用代行と人材紹介がそれぞれどのような役割を担い、何がどう違うのかを正確に理解している人は、決して多くはありません。
どちらも企業の採用に関わるサービスですが、立場や仕組み、求職者との関わり方には大きな違いがあります。この違いを曖昧なままにしていると、選考の流れが分かりにくくなったり、「今、誰とやり取りしているのか」が分からず不必要な不安を抱えたりする原因にもなります。
この記事では、採用代行と人材紹介の違いを仕組み・役割・責任範囲の観点から整理し、求職者が混乱しやすいポイントを構造的に解説します。
「採用代行」と「人材紹介」の違いを整理する

採用代行と人材紹介の最大の違いは、「誰の立場で採用に関わっているか」です。
- 採用代行:企業の採用業務を外注として支援する存在
- 人材紹介:企業と求職者をつなぐ仲介者
どちらも選考に関わりますが、役割も責任範囲もまったく異なります。
この立場の違いを理解しておくことで、選考の流れや各サービスの役割が格段に分かりやすくなります。
採用代行と人材紹介の立ち位置
採用代行と人材紹介の違いは、単なる業務内容の差ではなく、「採用プロセスのどこに、どの立場で関与するか」という構造の違いにあります。
採用代行は、企業の採用業務の一部または全部を外部会社が請け負うサービスです。求人票の作成、応募受付、書類選考の一次対応、面接調整など、採用実務を企業の代わりに運用します。ただし、採否の判断や評価基準の設計は企業が行うのが原則で、採用代行はあくまで業務遂行を支援する立場です。
一方、人材紹介は、求職者と企業をマッチングし、雇用成立を支援するサービスです。求職者の経歴や希望条件を整理したうえで、企業に対して「この人材を推薦する」という立場で関与します。人材紹介事業は厚生労働省の許可を受けた有料職業紹介事業として運営されており、法的にも「雇用成立の仲介者」という位置づけになります。
比較表で見る、役割・立場・責任
ここまでの内容を踏まえて、採用代行と人材紹介の違いを主要な項目ごとに整理したのが以下の表です。両者は「採用に関わる」という点では共通していますが、役割や責任範囲は大きく異なります。
| 項目 | 採用代行 | 人材紹介 |
|---|---|---|
| 基本的な立場 | 企業の業務支援 | 企業と求職者の仲介 |
| 主な役割 | 採用実務の代行 | 人材の推薦・マッチング |
| 求職者との関係 | 選考窓口 | 転職支援の伴走者 |
| 評価・合否 | 企業が決定する | 企業が決定 |
| 責任範囲 | 業務遂行責任 | マッチング責任 |
| 報酬形態 | 企業から業務委託費 | 成功報酬型が中心 |
このように、採用代行は「企業の内部業務の外注」、人材紹介は「雇用成立を目的とした仲介サービス」という構造的な違いがあります。
参考:厚生労働省-採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査報告書
採用プロセス上での関与ポイントの違い
採用代行と人材紹介は、採用プロセスのどの段階で、どのように関与するかにも違いがあります。応募から入社までの各フェーズごとに整理すると、両者の役割の違いがより具体的に見えてきます。
応募〜書類選考フェーズでの違い
応募〜書類選考フェーズでは、採用代行は応募受付や書類管理など、選考の事務運用を担います。選考基準に沿って情報を整理・確認する役割が中心であり、評価そのものを決定する立場ではありません。
一方、人材紹介は応募書類作成の支援や、企業に伝えるべき強みの整理など、推薦のためのサポートを行います。求職者の経歴や希望条件を踏まえ、それをどのように企業に伝えるかを一緒に整理する点が特徴です。
面接〜内定フェーズでの違い
面接〜内定フェーズでは、採用代行は日程調整や選考結果の連絡窓口として機能し、選考が滞りなく進むよう実務面を支えます。やり取りを一本化することで、企業と応募者双方の負担を軽減する役割を担っていると言えるでしょう。
一方、人材紹介は面接対策や企業情報の共有に加え、希望条件のすり合わせや条件交渉など、求職者の意思決定を支援する役割まで担います。企業と求職者の間に立ち、認識のズレを調整する点が大きな違いです。
内定後・入社前後の違い
内定後・入社前後では、採用代行は企業側の事務手続きを補助し、入社手続きがスムーズに進むよう実務面を支援します。
一方、人材紹介は応募者の意思決定フォローに加え、入社後、1〜3カ月程度の定着支援を行うケースもあります。入社後のミスマッチを防ぐため、企業と採用決定者の間に立って関係構築を支える役割を担います。
求職者から見たそれぞれのメリット・注意点
採用代行と人材紹介の違いは、求職者の体験にもそのまま影響します。どちらの経路で応募するかによって、受けられるサポート内容や選考中の関わり方は大きく変わるのです。
採用代行は進行スムーズ、支援は最小限
採用代行経由の場合、キャリア相談や助言は基本的にありませんが、連絡や選考進行は効率化されており、スピーディに進みやすい点が特徴です。その一方で、選考対策は自分で行う必要があります。
企業の採用窓口として対応しているため、あくまで「選考を進めるための実務連絡」が中心となり、転職活動全体の伴走者という位置づけではありません。
人材紹介は手厚い支援だが、担当者次第の面も
人材紹介経由の場合、求人理解や書類・面接対策などのサポートが受けられるため、転職活動に不安がある人にとっては心強い存在になります。
一方で、担当者が多くの求職者を抱えている場合や、業界・職種理解に差がある場合など、担当者の質や相性に左右される面もある点には注意が必要です。
「採用代行が入っている求人」は不利なのか?
採用代行が関与している求人について、「評価に影響するのではないか」「不利になるのではないか」と不安を感じる人も少なくありません。しかし、実際には採用代行の有無は合否に直接影響しません。
企業が採用代行を利用する主な理由は、採用人数が多い、社内リソースが足りない、短期間で採用したいといった業務上の事情によるものです。面接通過や最終的な採用判断は、あくまで応募先企業が行い、採用代行が評価を左右することはありません。
「採用代行が入っている=不利」と捉える必要はなく、選考の公平性という点では、通常の応募と変わらないと考えて問題ないのです。
違いを理解したうえで、転職活動で意識したいこと
採用代行と人材紹介の違いを理解することで、転職活動の進め方も変わります。今どの立場の事業者とやり取りしているのか、誰が採否を決めているのかを把握するだけでも、選考に対する不安や混乱は大きく減ります。
応募時には、どの経路から応募しているのかを確認し、連絡してきた相手が「採用代行なのか」「人材紹介なのか」を意識することが大切です。不安や疑問があれば、「どのような役割でこの求人に関わっているのか」を確認しても、不利に扱われることはありません。
立場の違いを理解したうえで選考に臨むことで、無用な不安を減らし、冷静に判断しやすくなります。
採用代行と人材紹介の違いを知って賢く活用しよう
採用代行は企業の採用業務支援、人材紹介は雇用成立のマッチング支援というように、両者は役割が異なるサービスです。
この違いを正しく理解したうえで転職活動を進めると、選考の流れに戸惑いにくくなり、より納得感のある意思決定ができるようになるはずです。希望や状況に応じて、さまざまなサービスを使い分けていきましょう。
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