「転職したい気持ちはあるけれど、今の会社に残るべきか決められない」と迷っていませんか?
転職は人生を大きく左右する決断であり、迷うのは自然なことです。一方で、具体的な判断軸がないと、結論が出ないまま時間だけが過ぎたり、一時の感情で決断して後悔したりしかねません。自分の置かれた状況とキャリアプラン・ライフプランをもとに、多面的に判断することで、納得のいく選択につながります。
本記事では、転職に迷ったときにまず確認すべきこと、転職したほうがいい人・やめたほうがいい人の特徴、年代別の判断基準、そして迷いを解消する具体的なアクションまで解説します。「後悔しない決め方」を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
転職を視野に入れながらも迷う理由
まずは、なぜ転職に迷ってしまうのかを整理してみましょう。迷いの正体が分かれば、対処法も見えてきます。
やりたい仕事・キャリアプランが明確でない
「今の会社は嫌だけど、次に何がしたいかはわからない」という状態では、求人を見ても選べず、動き出すことができません。
これは、不満(離れたい理由)はあっても、目的(向かいたい先)がない状態です。この状態のまま勢いで転職してしまうと、転職先でも同じモヤモヤを繰り返しやすくなります。まずは自分のキャリアを棚卸しし、「何を実現したいのか」を言語化するところから始めるとよいでしょう。
転職先でうまくやれるか(スキル・人間関係)の不安
「自分のスキルは他社で通用するのか」「新しい職場に馴染めるのか」という不安も、一歩を踏み出せない大きな要因です。
この不安の一因として、自分の市場価値を客観的に把握できていないことも考えられます。解消する方法としては、転職エージェントとの面談やスカウトサービスへの登録を通じて市場価値を確認することが考えられます。
今の待遇・環境を手放すことへの不安
給与や慣れた人間関係、勤続年数に紐づく制度(退職金・住宅手当など)を失うことへの抵抗感も、迷いを生む理由のひとつです。
年収や役職が上がると、現在の待遇や立場を手放すことに不安を感じる人もいるでしょう。「今あるメリットを手放してでも、転職によって実現したいことがあるか」を考えることが、判断材料のひとつになります。
転職後の職業生活に不満を感じている人は約1割
「転職して後悔したらどうしよう」という不安を持つ方は多いですが、データを見ると、転職して後悔する人は実は少数派です。
厚生労働省「令和2年転職者実態調査」によれば、転職後の勤め先での職業生活全体について「不満」「やや不満」と回答した人は計11.4%でした。一方、「満足」「やや満足」と回答した人も多く、「どちらでもない」とする人も一定数います。
年収面でも、厚生労働省の「雇用動向調査」(2024年)によれば、転職で賃金が増えた人は40.5%と、減った人(29.4%)を上回っています。
このように、転職後の職業生活に一定の満足を感じている人が多い一方で、不満を感じている人もいます。満足できる転職を実現するためには、適切な判断軸を持つことが重要です。
転職に迷ったらまず確認すべき3つのこと
キャリアについて納得のいく意思決定をするためには、ただ時間をかけて悩むのではなく、判断軸を整理して考えることが重要です。ここでは、後悔しない判断のために、転職に迷ったらまず考えてほしい3つのポイントを整理します。
何に迷っているのかを書き出す
最初にやるべきことは、「給与」「仕事内容」「人間関係」「将来性」など、迷いの正体を紙に書き出して言語化することです。
「仕事内容が合わないのではないか」「もう少し現職を続ければ昇進できる気がする」など、転職をためらっている理由を具体化するだけでも、思考を前に進めやすくなるはずです。
転職で何を実現したいのか考える
次に、「転職で何を実現したいのか」を自分に問いかけてみましょう。
「辞めること」自体が目的になると、転職先を選ぶ基準が曖昧になり、入社後に別の不満が生じる可能性があります。「年収を上げたい」「裁量の大きい環境で働きたい」「リモートワーク中心の生活にしたい」など、転職によって手に入れたい未来を語れると、実際の求人探しもスムーズになるはずです。
現職で解決できる余地はないか検討する
部署異動や上司への相談、働き方の変更など、現職での改善アクションをやりきったかを振り返ってみるのもひとつの方法です。
現職で解決できる悩みなら、転職というコストの大きい手段を取る必要はありません。考えた結果、「現職では希望が叶わない」という結論が出た場合でも、転職面接で退職の動機をはっきりと語れるようになるというメリットがあります。
早めに転職に踏み切ったほうがいいケース
転職すべきかそうでないかはケースバイケースですが、明らかに現職の環境が適していない場合や、現職に残ることで近い将来のキャリアや生活に関してリスクが見込まれる場合は、転職を前向きに検討するのがおすすめです。
ここでは、転職を前向きに検討したほうがよいケースのなかでも、とくに早めに行動を検討したいパターンを整理します。
心身の健康に影響が出ている
長時間労働やハラスメント、眠れない・食欲がないといった不調の兆候など、心身への影響が出ている場合は、転職だけでなく、休職や専門機関への相談なども含め、現在の環境から距離を取る方法を検討しましょう。
状況によっては、休職や退職などで現在の環境から離れ、心身を整えることを優先する選択肢もあります。
希望するキャリアが現職では実現できない
挑戦したい職種や身につけたいスキルへの道が社内に存在しない場合も、転職を前向きに検討すべきタイミングです。
とくに変化の速いIT業界などでは、希望するスキルや経験を積めない状態が長く続くと、将来的に希望するキャリアへ移行しにくくなる可能性があります。転職することでどのようにキャリアの選択肢が広がるのかを、市場に詳しい転職エージェントに聞いてみるのもよいでしょう。
会社の将来性に明確な不安がある
給与の遅配や事業縮小など、勤め先の経営が危ぶまれる場合も、早めの転職を視野に入れたいところです。
実際、転職サービスdodaの「転職理由ランキング【2025年版】」によれば、アンケート回答者の19.0%が「業界・会社の先行きが不安」を転職理由のひとつとして答えており、約5人に1人が挙げる代表的な転職理由といえます。この理由はとくに40代で目立ち、40代では4位(26.5%)に入っています。
今は転職をやめたほうがいいケース
一方で、今は動かないほうがいいケースもあります。以下に当てはまる場合は、転職活動の前にやるべきことがあります。
不満の解消だけが目的になっている
現在の不満を解消することだけが転職の目的になっている場合は、次の職場で何を実現したいのかも整理しておきましょう。
転職先選びの軸がないままでは、入社後に別のミスマッチが生じる可能性があります。逃げたい理由を「次の環境で実現したいこと」に言い換えられるようになってから動いても、遅くはありません。
スキル・経験の棚卸しができていない
自分の強みと市場価値を把握しないまま転職活動を始めると、条件面で不利になったり、入社後のミスマッチが起きたりしやすくなります。
職務経歴書に書ける実績は何か、それは市場でどう評価されるのか。こうした整理ができてから動くほうが、選択肢も広がり納得の行く転職につながります。
一時的な感情で動こうとしている
同僚とトラブルがあった直後や、繁忙期で疲労が溜まっているときなど、感情が乱れているタイミングでの決断は避けましょう。
一時的な感情による判断かどうかは、自分ではなかなか気づけないものです。第三者に話してみることで、自分が冷静に判断できているかを見直せることもあります。
【年代別】転職に迷ったときの判断基準
転職市場では、年齢によって企業からの評価のされ方が変わるため、転職すべきかの判断基準も年代ごとに分けて考える必要があります。
20代:市場価値が高まる環境かどうかで決める
20代では、経験だけでなくポテンシャルを重視する求人も比較的見つけやすい傾向があります。判断軸は「3〜5年後にスキル・経験が積み上がる環境かどうか」に置くとよいでしょう。
実際、20代専門転職サイト「Re就活」を運営する株式会社学情が企業の人事担当者を対象に行った調査(2023年)では、中途採用で特に採用したい年齢層は「20代(26〜29歳)」が最多。さらに、20代を対象にした中途採用では「業界・職種の経験を問わない」とする企業が7割を超えました。企業側から見ても、20代は経験よりも将来性で評価される年代なのです。

未経験職種への挑戦もしやすい年代のため、興味がある職種であれば現職と遠い領域であっても前向きに検討する価値があります。現職と転職先候補を比べて、より成長できる環境を選ぶという考え方がおすすめです。
30代:専門性とライフプランの両立で決める
30代の転職では、即戦力性が問われる傾向があります。これまでのキャリアを活かして企業からの評価を得ながら、業務内容や年収、働き方などの希望を実現できるかが論点となります。
人によっては、結婚・育児などのライフイベントとの兼ね合いも重要となる時期です。目先の条件だけでなく、中長期のライフプランと照らし合わせて判断しましょう。
40代:ポジションのマッチ度と事業の安定性で決める
40代の転職では、これまで培った専門性と求人ポジションのマッチ度が大きな判断材料になります。
生活上の固定的な支出や扶養などを考慮する必要がある場合は、転職先の事業の安定性や給与水準も重要な判断軸となるでしょう。「やりたい仕事か」だけでなく、「自分の強みを活かして評価を得られるか」を軸に据えると、後悔のない選択がしやすくなります。
迷いを解消する具体的なアクション
最後に、迷いを解消するために今日からできる具体的なアクションを3つ紹介します。
第三者に話して整理する
家族や友人に話すだけでも、思考が整理されることがあります。人に説明しようとする過程で、自分が何に引っかかっているのかが明確になるためです。
ただし、家族への相談では、生活が変わることへの不安から「辞めないほうがいい」と現状維持を勧められる場合もあります。また、自分の職種や業界に関して的確なアドバイスがもらえるとは限らないため、あくまで思考の整理と家庭内での調整のため、と捉えるとよいでしょう。
職務経歴書を書いてみる
転職するかどうかを決める前でも、職務経歴書を書いてみる価値はあります。
書く過程がそのままキャリアの棚卸しになり、自分の強みと不足しているものを客観視できるからです。「書けることが意外と多い」と自信につながる場合もあれば、「実績として語れるものが少ない」と現職での経験の積み方を見直すきっかけになる場合もあります。
転職エージェントに相談して市場価値を知る
転職エージェントというと「転職を決めた人が使うもの」というイメージがあるかもしれませんが、実際には迷っている段階の情報収集にも活用できます。
日々多くの求職者と企業を見ているアドバイザーとの面談では、自分の経歴が市場でどう評価されるのか、どのような求人や年収レンジが視野に入るのかといった、客観的なフィードバックが得られます。家族や友人への相談と異なり、業界・職種の実情を踏まえた具体的な情報をもとに迷いを整理できる点が特徴です。
一般的な転職エージェントは、求職者が無料で利用できるサービスが多く、「まだ迷っている段階」で情報収集や思考整理に活用することもできます。
転職に迷ったら、まずはプロに相談して判断材料を集めよう
転職に迷っているときは、無理にすぐ結論を出す必要はありません。そして、迷いの正体は多くの場合「判断材料の不足」にあります。自分の市場価値、求人の相場観、キャリアの選択肢という材料が揃えば、現職を続けるにせよ、転職に踏み切るにせよ、あとで後悔しない選択につながります。
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大阪大学法学部卒。行政の教育事業支援、広告業界での人事職を経て2025年よりフリーランスライターに。ITやSaaS分野を中心に、採用広報記事や技術コラム、セミナーレポートなど幅広く記事制作に携わる。執筆・編集実績は約200本。