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納品の先の価値をつくる。株式会社GIGが目指す、クリエイターの価値が高まる組織作り

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23歳で株式会社LIGを創業し、約10年間の経営を経て、株式会社GIGを立ち上げた岩上貴洋さん。

GIGで目指しているのは、制作物を「納品」した時点ではなく、その後どれだけ活用され、価値を生み出したかで評価される仕事のあり方。そうした仕事のあり方を広げることで、クリエイターの価値そのものを高めていきたいという思いがあります。

GIG創業の背景やクライアントとの向き合い方、採用で重視していること、AI時代に目指す会社の姿について聞きました。

岩上貴洋さん

株式会社GIG代表取締役。大学時代に、IT系企業と投資会社の双方でインターンを経験。新卒では投資会社へ入社し、さまざまな企業や事業に関わった後、23歳で株式会社LIGを創業。約10年間の経営を経て、株式会社GIGを立ち上げた。

23歳で起業。仲間とつくった会社から、GIG創業へ

――まず、岩上さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

岩上さん:埼玉県の田舎で育ちました。親族や分家が周りにいるような環境で、父や母からはずっと「仲間を大事にしなさい」「周りを大事にしなさい」と言われていたんです。それは今も自分の大切な価値観として残っています。

大学時代には、IT系の会社と投資会社の2社でインターンをしていました。周りに自営業の人も多かったので、自分もいつかは事業をやろうと思っていて。それなら、いろいろな会社や事業のケースを知っていたほうがいいと思い、新卒で投資会社に入りました。

そこでさまざまなケースに関わらせてもらった後、「自分でやろうかな」と思って、23歳のときにLIGをつくりました。

――23歳での起業となると、最初は仲間を集めるのも大変だったのではないでしょうか。

岩上さん:そうですね。なので、地元や社会人時代の友人、先輩、後輩など、自分の周りにいた仲間を集めました。

ITを始めたのは、僕自身がITを好きだったこともありますが、23歳の会社で人を集めて事業を成立させるには、IT業界がやりやすかったという面もあります。10年くらい会社を続けるなかで、依頼してくれるお客さんも増え、100人前後の会社になっていきました。

――そこまで成長したLIGから、改めてGIGを立ち上げた背景には、どのような変化があったのでしょうか。

岩上さん:LIGは「Life is Good」の略で、仲間を大切にしながら、みんながやりたいことを実現できるような箱をつくりたいという考えがありました。つまり、自分も含めて、みんなの楽しいことを実現する会社ですね。

それは成立したんですが、そのなかで僕自身の興味が少しずつ変わっていったんです。自分の関心が、仲間のやりたいことを実現することから、世の中に対してより長期的に価値を生み出すことへ移っていきました。

LIGは、みんながやりたいことを実現するための会社。一方でGIGでは、まず「世の中に対して継続的、長期的に価値を最大化できる組織をつくる」という軸があって、そのなかにみんながやりたいことが紐づくのであれば一緒にやろう、という考え方にしています。

――岩上さんご自身は、組織のなかでどのような役割を担うのが得意なのでしょうか。

岩上さん:その場を成立させることは、得意なほうかなと思っています。

その場の空気を読みながら、必要な役割を自分でやることにあまりストレスを感じないんです。誰もいなければ自分でチームを回しますし、自分が何も話さなくてもその場が成立していればそれはそれで良いと思っています。

具体的には、先にその場のルールやアジェンダを決めたり、きちんと整理できる人に事前に伝えたりして、着地がずれないように下準備をしておく。自分が何をするかというより、その場が成立することが大切、という感覚ですね。

「納品」ではなく「活用」を基準に、クリエイターの価値を高める

――先ほど、GIGでは「世の中に対して長期的に価値を最大化できる組織をつくりたい」とおっしゃっていました。具体的には、どのようなことを実現したいのでしょうか。

岩上さん:大きく2つあります。1つ目は、クリエイターの価値を最大化することです。

僕はこの業界に20年ほど関わっていますが、制作会社で働く人たちの平均年収や待遇は、20年前と比べてもそれほど変わっていないと感じています。さらにAIが発展すれば、もっと下がっていく可能性すらある。

でも、本来は逆だと思うんです。AIによっていろいろなものが標準化されるほど、何かを作り出せる人や、クラフトマンシップの価値はもっと高くなるはずです。

それなのに価値が大きく変わっていないのであれば、今までのやり方に問題があるんじゃないか。そこで僕が変えたいと思っているのが、「活用」を基準にした仕事のあり方です。

作ったものが3年、5年と活用されるなかで、どれだけ価値を生み出したのか。そこを基準にしたいんです。

たとえばWebサイトなら、納品した時点ではなく、その後きちんと運用されて、5年後に問い合わせが増えているかどうかを見る。そうやって「納品」ではなく「活用」を価値の基準にできれば、クリエイターの価値も今より高められると思っています。

そして2つ目が、制作物を買う側の価値基準を変えることです。お客さんにも、納品時点の金額や成果物だけではなく、3年後、5年後にどれだけ価値を生み出せるのかを見て選んでもらえるような業界にしたいと思っています。

――Workshipなどの自社サービスも展開していますが、組織やチームのあり方については、どのように考えていますか。

岩上さん:もともと、正社員だけで組織をつくり続けることには限界があるんじゃないかと思っていたんです。

フリーランスや業務委託など、契約形態が異なる人たちも含めてチームを組んだほうが、労働生産性が上がるかもしれないし、サステナブルな組織になるかもしれない。

たとえば海外の会社を見ると、デザインはフランス、実装はポーランドというように、国や領域をまたいでチームをつくるケースもあるんです。

そういう固定観念に縛られないチームをつくれたほうがいいと思って、Workshipをつくりました。必要な人がプロジェクトごとに集まり、いい時間を過ごして、また分散していくようなイメージです。

ちなみに、今までは雇用形態を含めたハイブリッドなチームを考えていましたが、AIが出てきたことで、人だけではなくAIとどう共存するのかまで考えるようになりましたね。

クライアントと対等に議論し、本質的な課題に向き合う

――岩上さんはこれまで、ものづくりのどんな部分に関心を持ってきたのでしょうか。

岩上さん:プランニングやディレクション、マーケティングなど、作ったものをどう活用するか、どうやって世の中で成立させるかというところに、ずっと関心があります。

一生懸命良いものを作っても、それがきちんと評価されるとは限りません。だから、作ったものの価値が伝わる形をどうつくるか、継続的に価値を生み出せるチームをどうつくるか、ということを考えてきました。

――作ったものをどう活用し、価値につなげるかという考えは、クライアントとの関わり方にもつながっていますか。

岩上さん:そうですね。僕たちは、できる限りお客さんと対等な立場で、良いものをつくりたいと思っています。

上下関係を明確につくるというより、違うと思うことは「違う」と言えて、ディスカッションできる関係でいたいんです。そのほうが、お互いにとって意味のある時間になるし、長く続くと思っています。

そのために、代理店などを挟まず、できる限り直接取引をして、会社のパートナーとしてお客さんと接点を持つことを大事にしています。

――クライアントが希望する施策であっても、そのまま実行するとは限らないということでしょうか。

岩上さん:意味のない施策や、お客さんがやりたいと言っている施策をやっても、価値が出なければ、結果としてお互いにとって意味がなくなってしまいます。

なので、できる限り対等な関係で、自分たちが良いと思うものをきちんと提供したい。

そのためには、自分たち自身でもいろいろな施策を試して、本当に「これが良い」と言えるものをストックとして持っておく必要があります。

そうでないと、AIの時代には生き残れないと思っていますし、世の中で一般的に良いとされているものをやるだけなら、僕たちの存在価値はなくなってしまう。お客さんと対等に議論できる、ディスカッションパートナーでいられることが大切だと思うんです。

良いものを作り、変化を受け入れ、チームで働ける人を求める

――GIGの採用では、どのような方が会社に合うと考えていますか。 

岩上さん:まず、僕たちのミッションである「いいものをつくり、価値をとどける」という考え方に共感してもらえることですね。

「Good is good.」というバリューもあって、自分たちだけでなく、お客さん、その先のユーザーまで含めて「良い」と思えるものを作りたい。なので、ものづくりそのものが好きだったり、良いものを作ることにこだわりを持てる人がいいと思っています。

それに加えて、挑戦や変化を前向きに受け入れられることも大切です。人間は、自分が得意なものほど変えたくないものだと思うんです。でも時代が変われば、やり方も会社も組織も変わっていく。そこで変わらなければ、自分の価値も、サービスや会社の価値も相対的には下がっていくと思っています。

もう1つは、チームでものを作ることに前向きであることです。IT業界なら一人で働く選択肢もありますが、それでも、チームで取り組むほうが楽しいこともあるし、一人では生まれなかったものができるかもしれない。そういう働き方に前向きな人が合うと思います。

――採用では岩上さん自身も候補者と話す機会が多いのでしょうか。

岩上さん:一次面接やカジュアル面談に入ることは多いですね。特に中途ではよくあります。

ただ、僕自身は「社長だから」という立場をあまり意識していないんです。面接でも役職を前面に出すというより、その人自身がどんな人なのか、GIGのチームに合うのかを見ています。

――では、現在のGIGでは、特にどのような人材を求めていますか。

岩上さん:PM(プロジェクトマネージャー)やAD(アートディレクター)などなど、クライアントに伴走できる人ですね。

お客さんの課題をきちんと把握して、その課題に対する打ち手を考えたり、状況に合わせて調整したりできる人が必要だと思っています。

今はAIに聞けば、施策の選択肢自体はいくらでも出てきますよね。だからこそ大事なのは、選択肢をただ提示することではなく、お客さんが本当に抱えている課題をヒアリングして、そこに合ったアプローチを選べることです。

―― AIでできることが増えるなかで、クリエイターにはどんな姿勢が大切になると考えていますか。

岩上さん:クリエイターとして「良いものを作ろう」という気持ちは大事だと思っています。

たとえば、デザイナーだからデザインだけをするのではなく、良いものを作るために必要なら写真を撮ったり、画像を作ったり、コピーを書いたりする。もともとの専門性を軸にしながら、別の専門性を掛け合わせることで価値が生まれてくると思うんです。

――そうした柔軟さが求められる環境のなかで、入社後にギャップを感じやすい部分はありますか。

岩上さん:GIGには、良いものを作りたいと思っている人が多いと思います。ただ、良いものをつくるために、仕組みや体制、サービスの見せ方などを結構変えるんですね。

変わることが苦手な人にとっては、それがストレスになることもあると思います。

また、まだ10年くらいの会社なので、自分たちがやりたいことと、実際の状態が合っていないところもあります。今後も変化していくために、あえてすべてを固めすぎず、一定のカオス感は残しておいたほうがいいとも考えています。

クリエイターの価値が高まる、新しい業界のスタンダードをつくる

――これからGIGを、どのような会社にしていきたいですか。 

岩上さん:僕たちがやりたいのは、クリエイターの価値を最大化することです。

AIによってクリエイターの価値が下がると言われるなかでも、むしろその価値を高めていけることを、会社として体現できる組織にしたい。

僕はこの業界を20年くらい見てきて、ものづくりに関わる人がより報われる仕組みは、もっとつくれると思っています。

違うやり方をすれば、会社ももっと良くなる。それを自分たちで証明して、ほかの会社から「真似してみよう」と思ってもらえるようなスタンダードになれたらいいですね。

――最後に、GIGへの転職を考えている方へメッセージをお願いします。 

岩上さん:ITやクリエイティブの仕事をしている方は、何らかの形で表現したり、ものを作り出したりすることが好きな方が多いと思います。

一方で、今は「ライターの価値ってなくなるんじゃないか」「デザイナーの価値ってなくなるんじゃないか」と言われることもあります。でも、僕はもっと価値があるはず、発揮できるはずだと思っています。

その価値を、組織や会社として長期的に高めていきたい。そこに興味がある方とは、ぜひ一緒にやれたらいいですね。

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